電気洗濯機のない時代、よごれた衣類は洗濯板とたらいを使い、手で洗っていました。どちらも木製で、洗濯板は溝のついた板、たらいは浅いおけ(容器の一種)のことです。
洗濯するときは、たらいにためた水に、よごれた衣類や手ぬぐいなどをひたしたから洗濯板の上におき、洗濯せっけんをこすりつけて、ごしごしと手でもみ洗いをします。洗濯板には、ぎざぎざした溝がつけられているので、せっけんすいが溝にとどまり、洗濯物がずり落ちないようにもなっています。
たらいは、洗濯以外にも、野菜・くだものの冷却や、子どもの行水など、さまざまな用途で使われました。
衣類のよごれを落とす
洗濯板
木製の洗濯板。せっけん水が流れ落ちないように溝が曲線になっている。
洗濯板の使い方
- 洗濯板の上で、水にぬらした衣類に洗濯せっけんをこすりつける
- 衣類を丸めて、洗濯板の上でもみ洗いをする
- よごれが落ちたら、すすいでしぼる。手でしぼったり、衣類を丸めて洗濯板におしつけたりした
たらい
木製のたらい。ブリキ製の「金だらい」もある。
洗濯せっけん
明治時代の中ごろに一般家庭に広まった。
道具の進化:洗濯機のうつりかわり
日本の一般家庭に電気洗濯機が普及しはじめたのは昭和30年代後半です。電気洗濯機の登場は、それまで手作業で衣類を洗っていた主婦の負担を大きく減らしました。
その後、洗濯機は、一槽式⇒二槽式⇒全自動⇒乾燥機能付きへと開発がすすみ、より便利な機械へと進化していきました。
1928年(昭和3年)
電気式の洗濯機を輸入
1930年(昭和5年)
日本初の電気洗濯機が登場。とても高価で、一般の人には手が届かないものでした。
昭和30年ごろから貸洗濯機屋ができはじめました。テレビ、冷蔵庫と並ぶ、「三種の神器」ともてはやされた電気洗濯機。しかし、まだまだ高値で、一般の人にはまだ買えるような値段ではなく、今のコインランドリーのように電気洗濯機を借りて使うお店が生まれたのです。
1965年(昭和40年)
昭和40年代に広まったのが二槽式電気洗濯機です。洗濯槽と脱水槽の2槽に分かれていて、脱水も自動でできるようになりました。
現在
今では乾燥機能付きの電気洗濯機が広く普及しています。全自動で洗濯、すすぎ、脱水、乾燥までおこなうことできます。